White, R. C., Aimola Davies, A. M., & Davies, M. (2011). Two hands are better than one: a new assessment method and a new interpretation of the non-visual illusion of self-touch.

self touch illusion(STI)における、触る手(administrating hand)の側のドリフトに着目したはじめての論文。

  • 実験
    • STIの条件
      • 誘起条件は、右手が触る手(administrating hand)、左手が触られる手(receptive hand)。接触自体はペンブラシ(毛筆のようなもの)を介して行われる。
      • 両手の間隔は15cm。ラバーハンド(触る右手の位置)が身体中央ライン上に置かれ、左手(receptive hand)は、身体中央線から15cm左の位置に置かれる。
      • 刺激の長さは3分。
  • ドリフトの計測
    • 刺激付与後、手を隠す仕切りの上部に設置された定規を使ってドリフトを計測: Felt hand position was assessed using a ruler placed on top of the visual divider that concealed the participant's hand below. The participant was asked to read the number on the ruler corresponding to (1) her administrating right index finger (at the position of the paintbrush) and (2) her receptive left index finger. Half of the participants indicated the position of the administering right index finger before the receptive left index finger, and half of the participants were questioned in the reverse order.
  • 実験結果
    • administrating handのドリフト(平均3.58cm)が、receptive handのドリフト(平均1.38cm)と比較して、有意な水準で大きな動きを示した。
    • このことは、セルフタッチの身体イメージが「触られる手」(receptive hand)の近くで生じていることを示している。
  • ドリフトの非対称性に関する議論
    • 最大尤度推定(maximum-likelihood estimation)
      • 複数のセンサ情報の統合は、最大尤度推定に従う。このとき、最小の分散を持つ情報源(従って、最も信頼のある情報源)に基づく位置感覚に対するバイアスが強くなる(Ernst2004)。
      • RHIの場合、隠された手(receptive hand)の体性感覚経由の位置感覚と接触を受けているrubber handの視覚情報を経由した位置情報が競合する。統合の過程で、より分散の少ない(信頼度の高い)視覚情報に基づいた位置情報が採用される。従って、receptive handがrubber handの方向にドリフトする。
      • STIの場合、receptive handとadministrating handの2つの異なる体性感覚経由の位置感覚が競合する。実験結果は、receptive handの位置情報の信頼度が高いことを示唆している。
      • 自らが動かす手足の位置の同定は、他人に動かされた場合よりも精度が高い。(Paillard & Brouchon, 1968)
      • administrating handが、paintbrushを介して刺激を与えていることも、administrating handの体性感覚に由来する位置情報に強い不定性を与える原因となっているかもしれない。
  • 両手の位置が与える影響
    • 自然状態では、腕の位置感覚は、(そこに目が向けられていなければ)身体の中央線に寄る傾向にある。(Paillard & Brouchon, 1968; Wann & Lbarhim, 1992)
    • 本実験の設定は、administrating handが身体中央、receptive hand が15cm左。従って、receptive handには元々、身体中央付近へとドリフトする要素を持っている。身体の中央ラインがreceptive hand上にあれば、administrating handのドリフトはより強力となっていたかもしれない。
    • 両手の位置がドリフトに関与することを考えれば、一方の手で、もう一方の手の位置を指示する従来のドリフト量の計測方法では、正確なドリフト量を計測することができない。本実験の、定規を使用する手法は、このような問題をキャンセルする。
  • STIにおける「身体所有感」について
    • 我々は、いかに直感に反していようが、STIが「所有に関する錯覚(the illusion of ownership)」から合成されたものではないという考え方を提示して、この論文を締めようと思う。体験者は、触れている手(何か)が自分の手であると感じること無く、自分自身の手に触れていると感じることができる。 被験者のrubber handへの刺激と、実験者の被験者の手への刺激が同期するとき、rubber handとadministrating handは、被験者の現象学の一部であることを止める。そして、被験者自身の左右の手に関する体験が残される。

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Last-modified: 2013-12-24 (火) 22:50:33 (1424d)