Aimola Davies, A. M., White, R. C., & Davies, M. (2013). Spatial limits on the nonvisual self-touch illusion and the visual rubber hand illusion: Subjective experience of the illusion and proprioceptive drift

RHIとSTIにおける、RH(と本当の手)に関する空間的な操作に対する効果を調べた研究

実験

STIの条件

  • administrating handは右手、receptive handは左手。
  • administrating handの位置(= rubber handの位置)を身体中央線にセット。
  • receptive handをrubber handから左の様々な距離j(15cm-30cm-45cm-60cm)にセット。
  • 刺激時間は60秒。

ドリフトの計測

  • 被験者の手の上に被された仕切りに張られた定規の目盛りを使って手の位置感覚を視覚的に報告させる。
  • 刺激前後で左右の手の位置感覚を計測し、それぞれの手がお互いに引き合った距離の割合(proprioceptive drift proportion: proprioceptive drift as a proportion of the distance between the hands)を計算する。
  • 同様に、ASYNC条件では、proprioceptive shift proportionを計算。

結果

  • RHIの錯覚強度は、STIと比べて、空間操作に関してロバスト。

Discussion

空間的操作の効果に関して、なぜ距離が離れると錯覚効果が低下するのか(4.1)

  • バイモーダルニューロン・身体近傍空間の内外説
    • バイモーダルニューロンは、頭頂-運動前野(premotor and parietal corticesに見られる、手に関する身体近傍空間をコードする。具体的には、手に近づいてくる物体(視覚)と、手に触れた物体(接触)の双方に反応する。
    • 視覚受容野は道具の使用によりダイナミックに拡張する(ボディ・スキーマへの取り込み, Iriki1996)。
    • Lloydによると, RHIは、視野に入るラバーハンドが、被験者の隠れた手の触覚受容野(tactile receptie)を囲む視覚受容野(visual receptive field)の内部に入ったときに生じ、その距離に影響を受ける。(the visual RHI occurs and is affected by distance when the viewed prosthetic hand falls within the visual receptive field surrounding the tactile receptive field of the participant's hidden receptive hand. )
    • その証拠に、ラバーハンドと手の距離が30cmを超えると、錯覚の主観評価に有意な差が生じなくなる。
    • STIにおいて、手の近傍空間からの情報を視覚は受け取っていない。にもかかわらず、本論文のSTIに関する結果は、距離に関して、RHIと同様の傾向を示している(特定の距離<30cm/27.5cm>を超えると、)。
    • 一つの可能性は、バイモーダルニューロンが、メンタルイメージからの視覚情報によって賦活している、というものである。(bimodal cells might be activated by visual information from a mental image - information about the location of one hand (e.g., the participant's administering hand) in relation to the somatosensory receptive field of the other hand (e.g., the hidden receptive hand).)
  • 体性感覚の再キャリブレーション(にかかる負荷説)
    • STIでは、体性感覚と触覚の情報を統合する必要がある(RHIでは、さらに視覚)。
    • 両手の距離が15cm程度の差であれば、手(hand)と前腕(forearm、ひじから手首)の位置のキャリブレーションで住むが、それ以上になると、上腕(upper arm)や肩(shoulder)のキャリブレーションまでもが要求されるようになる。
    • (Fuentes and Bastian, 2010):肘の伸展(extension)や屈曲(flexion)が限界に近づくと、肘の角度推定はその限界値にバイアスがかかる。この効果は、肩が開いているときに強くなる。(as the elbow approaches the limit of its range (of extension or flexion), estimates of the elbow angle based on proprioception are biased toward the limit; and this effect is greater when the shoulder is abducted. )
    • (Jones, 2000):関節の位置解像度は、抹消部の関節(distal joints)と比べて、肩のような基部関節(proximal joints)で強くなる。(the resolution of joint position sense is better for proximal joints (e.g., shoulder) than for distal joints.)
    • 従って、receptive handが身体中央線から60cmも左に寄ると、single-event hypothesisに対抗する、身体位置感覚から提供されるエビデンスが幅を利かせる。
  • 「錯覚の現場」説
    • 本実験では、RHIでもSTIでも、ラバーハンドの位置は身体の中央線の位置に固定されている。従って、RHIにおける錯覚の現場(「location of the illusion」)は常に身体の中央に固定されている。STIにおいては、receptive handの位置に錯覚が生起しやすいため、空間操作に際して、「錯覚の現場」は異なる。
    • 解釈:「錯覚の現場」が動くと、その距離に応じて、錯覚の強度も減退する。逆に場所が一定であると、ロバストな効果が得られる。

「主観的に錯覚を感じていること」と「ドリフト」の関係

  • 錯覚の主観体験と身体感覚のドリフトの間に二重の分離
    • ドリフトなき主観的錯覚(60cm/SYNC)
    • 主観的錯覚を伴わないドリフト(30cm・45cm・60cm/ASYNC)
  • (4.2, 第四段落より, p633)
    • (中略)ドリフトなき錯覚の発見は、ドリフトがSTIやRHIにとっての本質的な原因や前提ではない、ということを示唆している。一切の接触が存在しなくてもドリフトが生じるし、接触がある場合でも、ドリフトの生起は、同期的か非同期的に関わらず生じる ― この点には、強い根拠がある。まず、(Holmes et al., 2006)が示したように、RHIに被験者の隠れた手のドリフトは、ラバーハンドが構造的に妥当な場所・角度・距離に置かれたときに、「視覚-体性感覚の統合(visual-proprioceptive integration)」のみからでも生じる。第二に、(Paillard & Brouchon, 1968; Wann & Ibrahim, 1962)が示したように、被験者の動かない手が隠されたとき、体性感覚は身体中央線に向かってドリフトすることがある。
    • これらの発見は、RHIの体験が、ドリフトの必要条件ではないことを示すが、(Makin et al., 2008)が言うように錯覚が始まった後に、付加ドリフト(additional drift)が生じるという仮説を退けるものではない。この付加ドリフトは、例えば、接触を視覚的に認めることによって生じるかもしれない。そうではなくて、同期的な接触が、錯覚と付加ドリフトを引き起こすための一般的な要因としての関わっているのかもしれない。
    • (Rohde, Di Luca, and Ernst, 2011)の実験結果は、この付加的ドリフトの存在に対して否定的。visual RHIのドリフトは、単に「視覚-触覚の統合」と「中心線ドリフト」の結果である。
  • ドリフトは、同期的な接触から生じるか?
    • STIにおける本実験結果は、同期的な刺激によって生じるドリフトが確かに存在するという確かな証拠を提供している。第一に、STIにおいて視覚は使われていない。従って「視覚-触覚の統合」が関与することは無い。第二に、STIにおけるドリフトの方向は「administrating handからreceptive hand」であり、これは(本実験の場合)身体の中心線から離れる方向である。これは、「中心線ドリフト」とは逆の方向である。仕上がって、ドリフトのうちいくつかの成分は、同期的な刺激から生じていると考えるのが妥当である。
  • ドリフトはRHIの成分か?
    • STIにおいて同期的な刺激かドリフトを生むのであれば、原理的に、RHIにおいても同様のドリフトがあると考えるのが妥当。
    • しかし、ドリフトのレベルは、せいぜいが(ラバーハンドとreceptive handの距離の)15-30%程度のもの。この中に「付加ドリフト」が入り込む余地は内容にみえる。
    • (Rohde et al, 2011)の実験で得られたNO-STROKE時のドリフト率は38%、(Homes et al., 2006)の実験で得られたSYNC時のドリフト率は35%。これはほとんど同じ。
    • Rohdeの実験で観察されたNO-STROKEのドリフト率の高さが一般性のあるものなのか、もしそうであるならば、なぜ同期的な接触においてそれが抑制されるのか?

ドリフトが


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Last-modified: 2014-08-20 (水) 10:36:50 (1185d)