Tamè, L., Farnè, A., & Pavani, F. (2011). Spatial coding of touch at the fingers: Insights from double simultaneous stimulation within and between hands. Neuroscience Letters, 487(1), 78–82. doi:10.1016/j.neulet.2010.09.078

原文

ABSTRACT

  • (研究目的)我々は、指への接触が空間的にどのようにコーディングされるかを検討するため、指と指(同一の手のなかの二本の指、あるいは異なる手に属する二本の指)に対する、接触刺激に関するDSS(double simultaneous stimulation)の影響を調べた。
  • (実験条件)被験者は、一方のtarget-fingerに与えられる接触刺激を検出する「go/no-go課題」を行った。この際、target-finger以外には刺激は一切与えないこともあるし、(同一の手か、あるいはもう一方の手の)target-fingerとは異なる指に刺激を同時に与えることもある。また、それらの各刺激ブロックは、視界から隠した手の2種類の姿勢(両手とも掌を下にしたもの、一方のみ掌を上に回転したもの)のいずれかの条件で与えられた。
  • (実験結果)両手とも掌を下とした場合、DSSによる干渉効果(DSS inference effects)は、non-target-fingerとtarget-fingerの指が異なる場合でのみ生じた。例えば、target-fingerが右人差し指の場合、non-target-fingerは右中指あるいは左中指)。このことは、指の左右に関わらず、左右の手において、指が個別的な単位で処理されていることを示唆している(←意訳、原文:This suggests a clear segregation between the fingers of each hand, regardless of finger side)。逆に、一方の掌のみを上にすると、干渉効果は、同一の手の指と指の間のみで生じ、両手の指と指の間では、干渉効果は著しく減退するか消失した。このように、手と手の間では、干渉は手の姿勢の変化によってはっきりと影響される。
  • (考察)以上を踏まえると、これらの発見は指の接触に関するDSSを受けている間に、複数の指が空間的に接触をどのようにコードするかについて、行動科学的な証拠を提供するものである。とりわけ、これらは、身体の左右関係(body-sides)よりも、身体の特定の領域間(body-regions)の識別に基づいて接触を表象する(脳内の)ステージが存在することを確認するものである。Moreover, they show that the availability of tactile stimulation side becomes prominent when postural update is required.

INTRODUCTION(にあたる部分)

tactile stimulation processing

  • 接触は、まずS1内部でエンコードされた後、接触位置は、より高次の段階で、表象されるレベルに応じてコードされる。
  • 接触の場所は、ボディーイメージにマップされ、body-partsとbody-sidesに基づく、あるいは自己中心・他者中心の視点に基づくイベントとして定位することができるようになる。

DSS

  • DSSは、二つの接触刺激が競合して与えられるもので、接触の感覚処理の解明に役立ってきた。
  • 片側の脳に障害があると、DSSは接触の消失という事態を生む(すなわち、(障害半球と)反対部位の身体部位への刺激と同時に、同側の指に刺激を与えると、反対部位の身体部位への刺激の報告をすることができない)。
  • 消失効果と類似したものは、健常者でも見られる(二つの身体部位に対して、刺激の有無を尋ねられた場合)。
  • 数多の研究が、DSSの条件下で、単一の身体部位に対する刺激の有無を報告する条件で接触感知に関する成績が変質することを報告している。
  • &color(brown){この干渉効果は、時間的にも空間的にも近い関係で二つの接触刺激が呈示されたときに起こるのが典型である。}
  • この特性が、感覚レベルの競合に起因するのが、response levelにおける競合に起因するのかは意見の別れているところである。

DSS over both hands

  • 単一解答によるアプローチでは、同一の手の近接した指にDSSが与えられたときに、接触の検出能力が劣ることが定説となりつつあるが、両手の指同士でも同じことが起こるのかは議論の余地がある。
  • 同一の手の内部で生じる干渉効果は、異なる身体表象レベルを横断してしょうじたものではない(というのも、同一の手の隣接する指は、体性感覚マップにおいても、心的なボディマップにおいても、外部空間においても距離的に近いからである)。
  • 逆に、(同時に接触が付与された際の)両手間における干渉効果の有無は、身体を表象する段階における理解と大いに関係がある。
  • 例えば、(For instance, several findings converge to suggest that touch representations with a clear somatotopic organization do not fully differentiate between body sides.)
    • (例1)両手の指に刺激が与えられるとき、接触位置に関するエラーは、刺激された指同士の(体性感覚上の)距離を変数とする関数として決定する。 (→) Braun, C., Hess, H., Burkhardt, M., Wühle, A., & Preissl, H. (2005). The right hand knows what the left hand is feeling. Experimental Brain Research, 162(3), 366–73. doi:10.1007/s00221-004-2187-4
    • (例2)特定の指に対する点状の圧力や粗さを識別するように学習すると、その学習効果は、隣接する指・あるいはもう一方の手の同一の指に対する識別能力にまでポジティブな影響を与える。 (→) Harris, J. A., Harris, I. M., & Diamond, M. E. (2001). The topography of tactile working memory. The Journal of Neuroscience : The Official Journal of the Society for Neuroscience, 21(20), 8262–9.
  • 以上の結果を踏まえると、(両手間あるいは一方の手の中で生じる)DSSによる干渉は指に対する接触を空間的にコーディングするにあたって、体性感覚マップ(somatotopic representations)の役割が支配的になっていることを示唆しているかもしれない。
  • ここで我々が強調すべきこととして、身体の左右の区別よりも身体部位間の区別を行う体性感覚マップを参照するということは、解剖学的には、刺激と反対側のSI(primary somatosensory cortex)のみならず、体性感覚上の身体部位間の双方向のネットワーク存在を案に示しているということである。
  • SIは、接触の早い段階では、確かに反対側の身体部位上の接触に反応する(とりわけ、手などの末梢が関わる場合)。しかしながら、行動実験の時間フレームの中では、身体の中央線をまたがるような接触の表象にも関与している。これは、(左右の)SI同士の脳梁を通した双方向的な接続、SIとS2の間の相互接続の存在をを根拠としている。(→)Iwamura, Y., Taoka, M., & Iriki, A. (2001). Bilateral activity and callosal connections in the somatosensory cortex. The Neuroscientist : A Review Journal Bringing Neurobiology, Neurology and Psychiatry, 7(5), 419–29.

RESULT(にあたる部分)

主要な結果

  • 得られた主要な結果は以下の2つ。
    • (1)DSSによる干渉の効果は、同一の手の内部でも、両手間でも生じる。
    • (2)ただし、両手間の干渉効果が生じるには、指の選択と手の姿勢が特定の条件を満たす必要がある。
      • 両手の掌が下側の場合、両手間のDSSによる干渉の効果は、non-homologous fingerに刺激を与えると、RTにおいても誤答率においても観測されるが、一方の掌が裏返ると、誤答率における干渉の効果は消失する。
      • このことは、手の姿勢に関する再マップの必要がない場合、体性感覚処理(somatotopic processing)が支配的となり、結果的に、単独の手の内部・両手間のDSSの干渉が生じる。
      • 一方で、姿勢の再マップが必要な場合、somatotopic外の身体表象を行う影響が同時的に発生するため、結果的に両手間のDSSの干渉の効果は減退する。
    • この二つの主要な発見は、それぞれの効果に従属する(想定される)接触の空間コーディングに力点を置いて、以下で順に議論される。

(同一の手内部の)隣接による干渉効果

  • DSSの干渉効果は、誤答率でもRTにおいても見られた。一方の手の内部での干渉起こることは、以前の研究の実験結果から予測されているものであり、今回の実験でも、それぞれの指標で十分に確認されたことになる。この強力な再現性を持つwithin-handの干渉効果は、頭頂葉の体性感覚野における隣接する指に対する触覚受容野が部分的に重なることが反映している。この考え方は、catch trials(target-fingerには刺激を与えず、他のいずれかの指<non-target-finger>に刺激を与える)における誤答パターンからも裏付けられる。というのも、この場合、被験者は、target-fingerとnon-target-fingerが異なる手に属する場合に誤答率が有意に上昇するためである。

両手間の干渉効果!!

  • 両手間でも、指の種類が異なる場合に、DSSの干渉効果が得られた。
  • 興味深いことに、干渉の効果の大きさは、同一の手内部でも両手間でも(指の種類が異なれば)同等であり、このことはすなわち、non-target stimulation was not merely excluded on the basis of finger side. (←多分、指の左右が違うからといって、単純に処理のプロセスから締め出されるわけではない、的なことかと。)
  • 逆に、反対側であっても、同種の指が刺激されたときは、干渉の効果は消失するか(誤答率)、有意に減少する(RT)。
  • 総じて、両手間の干渉効果は、同種よりも異種の指で強くなる。このことは、この現象において指の固有性(finger identity)が果たす役割が突出していることを示している。
  • これらの結果は、複数の文献で指摘されている、身体の左右(body-sides)よりも、身体部位間(body-regions)を識別する体性感覚の表象レベルが存在することと整合的である。また、この干渉のパターンは、いくつかの表象段階においては、両手間の区別よりも、身体部位間の区別に向けられており、他方の手の異種の指に付与された刺激が、targetと同側の領野にも届く可能性がある点とも整合的である。
  • 言い換えると、両手の掌が下側の状態で実験されている場合、DSSの干渉パターンは、指の左右の区別に対する感度の失われた状態での接触情報処理の産物であると考えると、整合的である。

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Last-modified: 2014-09-12 (金) 20:19:41 (1167d)