Warren, J. P., Santello, M., & Helms Tillery, S. I. (2011). Effects of fusion between tactile and proprioceptive inputs on tactile perception. PloS One, 6(3), e18073. doi:10.1371/journal.pone.0018073

論文について

  • 指の姿勢によって(指を横断するタイプの)CREに関する誘起レベルが変わることを示したもの。
  • Introductionには、CREに関する研究の文脈がよく整理されて書かれている。

原文

INTRODUCTION

First motivation

  • 触覚の知覚は、皮膚とS1に存在するホムンクルスの間の同型的マップ(isomorphic mapping)に基づいている。
  • 固有感覚の違いが、この触覚の知覚にどの程度影響を与えるかについては明らかになっていない。
  • CREは、連続的な空間のみならず、非連続空間においても研究されており、特に非連続空間(例えば、左右の腕を横断する状況; Eimer et al., 2005)におけるCREの誘起において、姿勢が重要な役割を果たすことがわかっている。
  • 体性感覚と皮膚の空間はそれぞれ同型的に対応しており、姿勢に対してどの程度依存しているかについては不明である。

現在のCRE研究の実験パラダイム

  • CREを誘起するのに使われる3回の刺激(タッ、、、、タタ)に対して、一回目の刺激を"locator"(別の文献では"attractor")、3回目の刺激を"attractee"と呼ぶ。
  • 新たなパラダイムでは、被験者の意識は、locatorとattractorの特定の位置に向けられ、実験の間で、そこに刺激を感知したかどうかを問われる。

指を横断するCRE

  • 筆者らは、2010年に、指を横断するタイプのCREを報告している(実際には、存在しない、中指への触覚刺激を感じる)。
  • その文献の中で、中指への触覚刺激の知覚が(他の種類の錯誤ではなく)CREによるものであることを明らかにするために、通常の刺激パタン(Illusory Rabbit: 2245)に加え、別の刺激パタン(Motion Bias: 2445 and Negative Control: 2X4X)をコントロールとして呈示している。
  • 'Illusory RabitMotion Biasの刺激パターンは、いずれも、期待される刺激の速度と、中指周囲への刺激によって、知覚的なバイアスを生む傾向にある。しかしながら、Illusory Rabbit Trainのみが、知覚距離の圧縮(perceptual length contraction)によってCREを引き起こすものである。それゆえ、CREが誘起されたことを主張するためには、Illusory Rabbit Trainによる中指に対する刺激の惹起率が、Motion Biasと比較して 高くなることが必要である。
    • (注)perceptual length contractionは、ベイズのモデルによってCREの現象を説明するための概念と思われる(未確認)。
      • Goldreich, D. (2007). A Bayesian perceptual model replicates the cutaneous rabbit and other tactile spatiotemporal illusions. PloS One, 2(3), e333. doi:10.1371/journal.pone.0000333
  • Negative Control Trainは、人差し指と薬指に与えられるパルスのタイミングをさらに壊しても、attracteeを知覚する場所に影響がないことを示す(?不明)。
    • Additionally a Negative Control Train (Fig. 1) was used to verify that further breaking up the timing between pulses did not influence the perceived location of the attractee stimuli due to either anticipated velocity of stimuli or perceptual time contraction.

CREが活性化させる脳の部位

  • 近年の研究では、CREによって生じる(実際の刺激を伴わない)純粋に想像上の刺激が、錯覚に対応する地点を直接触れたときに活性化する一次体性感覚皮質(S1)の3b野(カンデル・p503)の特定領域と同一の箇所を活性化させることが示されている。
    • Blankenburg, F., Ruff, C. C., Deichmann, R., Rees, G., & Driver, J. (2006). The cutaneous rabbit illusion affects human primary sensory cortex somatotopically. PLoS Biology, 4(3), e69. doi:10.1371/journal.pbio.0040069
  • 同様の結果は、他の触覚に関する錯覚における指先(の触覚)の表現においても示されている。
  • S1の3b野は、前腕・手・指を含む全ての身体からの機械受容器からの入力の処理を行う。
  • また、3b野を構成するニューロンの活動は、姿勢によるtuningを受けることが知られている。

Discussion

<ベイズモデル>は、CREにおける姿勢の影響を十分に説明できない。

  • Godreichによって提案されたベイズモデルは、次の3つのパラメーターを使って、接触位置の誤認識尤度を予測するものである。
    1. 意識がどこに向けられているか(where attention was directed)
    2. 刺激速度の期待値(expected speed of stimulation)
    3. 刺激の速度(direction of stimuli)
  • モデルによると、接触位置の誤認識が生じるのは、以下の2つを満たす場合(CREの前提条件
    1. 一連の刺激が一直線に並ぶ
    2. 誤認識の位置と隣接する2つの付与刺激の距離が同一の場合
  • Tau effectは、3つの連続的な刺激の間の距離が、実際の刺激間距離よりも、時間タイミングに関連づけられた結果生じる
  • 時間的に近接したタイミングで生じる刺激は、十分な時間感覚で与えられた場合よりも、短い(刺激間の)距離感覚を伴う。
  • 本実験では、Adduted(内転)・All-Flexed(曲げ)・All-Abducted(外転)の3つがCREの前提条件を満たす。しかし、All-AbductedはCREを示さない。
  • また、CREの前提条件を満たさないIndex-Abducted(人差し指と中指の間を開ける)・Vulcan(中指と薬指の間を開ける)が、CREを示す。

なぜ、指を開くと、CREが生じないのか?

  • 以下の2つの説明が可能。
    1. Index-Abcuted・Vulcanには、物理的に隣接している指(人差し指あるいは薬指)に与えられる触覚刺激からの相互作用が期待できるが、All-Abductedでは存在しない。
    2. 刺激間の空白の増加はCREを減退させる(the increased space between the 'cutaneous rabbit hops' may lessen the CRE.)
  • 過去の研究は、CREの跳躍距離が大きくなると(saltatory area increases)、CREの効果は減退することを示している。しかしながら、今回のケースは、触られている場所の同一性は保持されつつ(すなわち内部の基本座標系の記述は変わらない)、外部の基本座標系における刺激間の距離が変わるという、特異的な事態である。
  • 以上より、CREは、双方の座標系を考慮する必要があることを示唆するものである(すなわち、指を開く事態のような、皮膚空間では同一であっても距離的に離れれるような状況では、やはりCREに対してネガティブな影響を生む。)。

CREが姿勢の影響を受ける器質的根拠

  • CREは、一次体性感覚皮質の3b野における触覚マップにおける活動を基礎としていることはわかっているが、本研究の結果は、この3b野が、姿勢や固有感覚からの入力を受け取る皮質領域からの情報を含んでいることを示唆している。
  • 現在のところわかっているのは、3b野が、postural tuning を有することだけであり、姿勢や固有感覚からの十分な入力を裏付ける証拠は無い。
  • CREが3b野の活動から生じている以上、本研究の結果を矛盾無く説明するためには、3b野が姿勢や固有感覚からのフィードバックを受けていると考えるのが妥当。

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Last-modified: 2014-09-10 (水) 11:52:37 (1169d)